2020年2月26日水曜日

ゴッホ展 (兵庫県立美術館)

海外では「ヴァン・ゴー」というゴッホですが、ゴッホがゴッホたりえる絵を描いたのは、最晩年のほんの数年のことでした。

この展覧会は2部構成になっていて、プロの画家を目指した時に影響を受けた「ハーグ派」との出会いと、「印象派」との出会いがそれぞれフィーチャされています。

パリに移ってからの印象派との出会いが、大きく彼の絵を変えましたが、その前の時代のゴッホたりえない絵も今回の展覧会では多く集められています。見てもゴッホとは分からない絵が、こんなにあったのかというのは驚きです。ミレーへの憧れが前面に出ていますが、絵を描くことの喜びというより、たくさん練習することが大切、という感じを受けます。

後年の絵は圧巻です。生前に絵が売れなかったにも関わらず、どうやってこういうオリジナルな境地を極めるモチベーションを保つことができるのか?人からの評価ではなく、自分のモノサシを持った、立派なアーティストなんですね。
1888 麦畑

1889 糸杉

2020年2月2日日曜日

カラヴァッジョ展 (あべのハルカス美術館)

日本で言えば、関ヶ原の合戦の頃。絵の技術はこれほどレベルが高いのか、と驚きました。

カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio)の作風は、当時斬新で、大きなセンセーションを生み、カラヴァッジェスキと言われる多くの追随者を生みました。
カラヴァッジョで一番有名なのは、ローマのサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会に描いた「聖マタイの召命」でしょう。収税所に突然現れたイエスがそこで働いていたマタイを指名する図ですが、その劇的な明暗のコントラストと重点化こそがカラバッジョ様式、バロックと言われるものです。

今回の美術展で一番心打たれた絵は、「法悦のマグダラのマリア」でした。イエスから救済を受け、その悦びからうっすら涙しながら法悦に浸っているマグダラのマリア。解脱、涅槃。カラヴァッジョの他の作品とは一線を画しているように思います。

一方で「リュート弾き」は写実の精緻さに驚きました。花瓶に映る窓、楽譜。音符まで正確に写しとっている模様です。
変わり者で、刀を持ち歩き、時に人を殺め、恩赦のために絵を描いた、そんな彼でも支援者がいたようですから、才能というのは偏っていて、それを認める寛容さが人間社会なんですね。

ちなみに、あべのハルカス美術館に上がるエレベーターは、展望台に行くエレベーターと同じで、中国人がいっぱい。新型コロナウィルスが流行っている中、マスク持ってないことを後悔しました。

http://m-caravaggio.jp