2023年10月3日火曜日

若冲と応挙 Ⅰ期 (相国寺承天閣美術館 2023/9/10〜11/12)

相国寺は足利義満が創建した臨済宗の寺だそうで、金閣寺、銀閣寺は相国寺の塔頭寺院の1つだそうです。創建当時は壮大な敷地を有していたようです。

伊藤若冲は江戸時代の絵師ですが、相国寺との関係が深く、金閣寺の障壁画で名を挙げ、代表作「動植綵絵」も相国寺に寄進されたものだということも知りました。
明治になって「動植綵絵」は宮内庁に献納され、宮内庁からの一万円で相国寺は土地を買い戻したそうです。

今回の展覧会では、その動植綵絵のコロタイプ複製30幅、釈迦三尊像、金閣寺の障壁画の一部(書院の再現含み=常設)らが若冲ものとして展示されています。

複製とはいえ、動植綵絵の細密さ、写実性、構図は見事なもので、よくもまあこれだけの絵を描けたものだと感心します。このうちの1つでも描けたら僕は人生成し遂げたと思うでしょう。
花、鳥、魚....鶏に至っては、何羽も庭で放し飼いにし、ひたすら観察していたそうです。写真のない時代に絵に再現するというのは余程の観察眼だと思います。

鹿苑寺金閣の大書院旧障壁画「月夜芭蕉図」は初めて見ましたが、素晴らしい筆致と構図でした。
また、同じ書院の「葡萄小禽図」は部屋の上から葡萄が垂れてきているような、奇抜なアイデアの構図で、来訪者は驚くでしょうね。

感心したのはほとんど常設展示だったのはちょっと残念ですが、いずれにして若冲の画技に直接触れられて感激しました。



2023年3月18日土曜日

大阪の日本画 (大阪中之島美術館 2023/1/21–4/2)

中之島美術館開館1周年企画。

もう1年になるのかぁ。中之島美術館は開館以来いい企画を連発してくれてます。

今回は、明治から昭和に至る近代大阪の日本画に焦点を当てたわけですが、「大阪の」というのは大阪で作られた、といった意味が強いでしょうか。

正直あまりなじみのない作家さんが多いのですが、すばらしい作品が多くありました。

伝統を忠実に受け継ごうというモーメントと、伝統からはみ出して新しいものを生み出そうというモーメントの両方が感じられました。
特に後者は、明治以降の油絵の輸入による表現技術や構図の多様化からの影響が強く感じられます。

「大阪」という地域特性を他と比べる知識がないのですが、船場派というのが一番大阪らしいのでしょうか。商人が発注してお題に基づき作品を作る、というプロセスから、大阪人のセンスが感じられ、装飾性の高さが伺えます。

  • 第1章 ひとを描くー北野恒富とその門下
  • 第2章 文化を描くー菅楯彦、生田花朝
  • 第3章 新たなる山水を描くー矢野橋村と新南画
  • 第4章 文人画ー街に息づく中国趣味
  • 第5章 船場派ー商家の床の間を飾る画
  • 第6章 新しい表現の探求と女性画家の飛躍

https://nakka-art.jp/exhibition-post/osaka-nihonga-2022/

北野恒富 「いとさんこいさん」 (1936)

小林柯白 「道頓堀の夜」(1921)

深田直城 「春秋花鳥之図」左


平井直水 「梅花孔雀図」(1904)


中村貞以 「猫」(1948)