2020年2月2日日曜日

カラヴァッジョ展 (あべのハルカス美術館)

日本で言えば、関ヶ原の合戦の頃。絵の技術はこれほどレベルが高いのか、と驚きました。

カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio)の作風は、当時斬新で、大きなセンセーションを生み、カラヴァッジェスキと言われる多くの追随者を生みました。
カラヴァッジョで一番有名なのは、ローマのサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会に描いた「聖マタイの召命」でしょう。収税所に突然現れたイエスがそこで働いていたマタイを指名する図ですが、その劇的な明暗のコントラストと重点化こそがカラバッジョ様式、バロックと言われるものです。

今回の美術展で一番心打たれた絵は、「法悦のマグダラのマリア」でした。イエスから救済を受け、その悦びからうっすら涙しながら法悦に浸っているマグダラのマリア。解脱、涅槃。カラヴァッジョの他の作品とは一線を画しているように思います。

一方で「リュート弾き」は写実の精緻さに驚きました。花瓶に映る窓、楽譜。音符まで正確に写しとっている模様です。
変わり者で、刀を持ち歩き、時に人を殺め、恩赦のために絵を描いた、そんな彼でも支援者がいたようですから、才能というのは偏っていて、それを認める寛容さが人間社会なんですね。

ちなみに、あべのハルカス美術館に上がるエレベーターは、展望台に行くエレベーターと同じで、中国人がいっぱい。新型コロナウィルスが流行っている中、マスク持ってないことを後悔しました。

http://m-caravaggio.jp



2019年4月21日日曜日

江口寿史イラストレーション展「彼女」(明石市立文化博物館)

江口寿史は僕のヒップスターだということを再確認しました。

もっとも多感な頃に影響を受けたということが一番大きいのでしょうが、「すすめパイレーツ」から「日の丸劇場」「ストップ!ひばりくん」の頃の漫画はサイコーでした。
ちょうど、ニューウェーブと言われる大友克洋が出てきて、江口寿史の絵も大きく変わっていった時期でした。
絵よりも影響を受けたのが、漫画の中にも出てくる音楽です。YMOやムーンライダースはベースとして、街角のパールピアスのファザードや、佐野元春、はたまた Robert Palmer の "Clues"...
導かれました。

江口寿史の作品展に行くのは、2〜3年ぶりですが、今回初めて「イラストレーター」としての作品を意識したような気がします。今まではあくまで漫画家として、また漫画描かんかなあ、と思いながらでしたが、今回の展覧会を観た後では、漫画はテキトーにして、もっと素敵なイラストを描いて欲しい、と思うようになりました。

「年代」的にはまったくかぶっていない、若い女の子が「これ、カワイイ!」とかいって観ているのがカッコいいな、と思いました。

世界のアートシーンでは、村上隆が有名ですが、むしろ江口寿史こそが、ジャパニーズ・クールを代表しているのではないでしょうか。現代の美人画、浮世絵の跡を継ぐものとして名を残すことになるように思います。

https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/19459

2018年3月17日土曜日

木島櫻谷 近代動物画の冒険 (泉屋博古館分館)

正直、木島櫻谷(このしまおうこく)は知りませんでしたが、天才的な画業だと感心しました。

今回は動物画を集めたものですが、その構図、質感は驚嘆です。同時に公開されていた、膨大な写生のたまものだと思われます。動きのある動物を、写真ではなく動物園の実物で写生したようですので、その写実力は感心します。鍛錬には「量」が重要なんですね。

日本画材を使うので日本画というジャンルですが、明治の画家らしく西洋画から学び、取り入れようという姿勢が、彼の幅を拡げ、実力を上げていると思います。

今回の目玉は何と言っても「寒月」です。
櫻谷の代表作といわれているだけあって、ひとつ群を抜いているように思います。
構図が素晴らしいですし、夜なのに明るく深い雪と空、林立する竹のリズム。竹は黒だけではなく、群青で描かれているのが、深みを生み出しているのでしょうね。

もう一つ「竹林老狸」という晩年の作もいい絵です。画面のほとんどが黒い竹林で、下に狸、竹の間からわずかに見える空に大きな月。構図が巧みです。

2018年1月8日月曜日

ボストン美術館の至宝展 (神戸市立博物館)

ボストン美術館は、モース、フェノロサ、ビゲローら、著名日本美術コレクターのコレクションを所蔵していることで有名ですが、コレクションはそれだけにとどまりません。
今回の展覧会では、「古代エジプト」「中国」「日本」「フランス絵画=印象派」「アメリカ絵画」「版画・写真」「現代美術」の7パートで展開しています。

印象深かったのは、古代エジプト、浮世絵、印象派でしょうか。
古代エジプトの、名もなき職人が彫った彫像や調度品は、大した道具がなかった時代に、優れた仕事をしています。
酒井抱一と喜多川歌麿の肉筆美人画もすばらしい出来です。構図、彩色、情感とも出色の出来ではないでしょうか。
フランス絵画はどれもすばらしいです。コロー、シスレー、ブダン、モネ、ゴッホ、セザンヌ...
お決まりモネの睡蓮ですが、この作品は画面にない空と木が水面に映り込む表現に脱帽です。「窪地のひなげし」も初めてみましたが、これもすばらしい風景画です。
意外と、アメリカにも、ホーマーやエイキンズといった、知らないけどすごい画家もいることが分かりました。

九龍図巻という中国の文人陳容が描いた絵図があります。龍は風を巻き起こして天に昇る。なかなか含蓄のある絵でした。

2017年5月1日月曜日

海北友松 京都国立博物館 開館120周年記念特別展覧会

9:30開館ということで、少し早めに行ったのですが、200mくらい並んでて驚きました。

襖絵、屏風絵、障壁画など、大きめの絵が多く迫力ありました。
狩野派から独立してから年代順に展覧してあり、画風の変遷が見え、分かりやすく感じました。

中でも良かったのは、余白と勢いのある木々が印象的な「松竹梅図襖」、建仁寺の「雲龍図」(迫力!)、色鮮やかな「花卉図屏風」、朧月に控えめな春の訪れ「月下渓流図屏風」あたりですね。

感じたのは、絵師って職業は大変な技能職だな、ということです。動物画や人物画、風景画、雲竜図、山水、かと思えば大和絵、という風に何でも描けるのはすごいなと思いました。
狩野派で働き、60歳前に独立したと言いますから、それまでの膨大な蓄積があったんでしょうね。初めは狩野派の画風から抜け出ていないのですが、次第にオリジナリティを出し、ついには宮廷用の大和絵にも挑戦し、モノにしており、それらがすべて第一級のクオリティですもんね。

上塗りができない中での筆さばきなんかは、「プロ」だなと思います。

2016年10月8日土曜日

松方コレクション展 ―松方幸次郎 夢の軌跡― (神戸市立博物館)

片っ端から買っていった、と言われてますが、この160点の展覧会を観て、そのことが再確認できました。統一感はほとんど感じられず、まさに、西洋画をごっそり買って、日本に紹介したかったとしか考えられません。

その中で、僕が一番印象に残ったのは、 Marie Cazin の2点です。
  • "An Evening in Antwerp"
  • "Moonlight"
いずれも20cmから30cmくらいの小さな作品ですが、非常に美しい。光の使い方が秀逸です。

Moonlight" の方は、ほとんど暗闇なのですが、その中に家庭の光と星の光が薄ぼんやり浮かぶ、情緒的な作品です。

Ernest Laurent の "Beautiful Shoulders" も、その名の通り、美しい作品でした。
輪郭をぼやかして描いた筆致も素晴らしい。

http://www7.kobe-np.co.jp/blog/matsukata-collection/

2016年7月19日火曜日

きらめきを伝える 京都・美の系譜 (京都市美術館)

竹内栖鳳はやはり天才です。
いくつかの作品が出てましたが、いずれもすばらしい。
動物も人も。
写実過ぎず、芸術してます。

上村松園もいくつか出てましたが、これもまたすごい。
人物と着物を抽象化するのがうまい。
線と平面という、日本の様式をうまく取り入れています。

中村大三郎の「ピアノ」も良かったです。
全体の構図と、その写実の細かいこと。譜面すべて描いてました。

やなぎみわの「エレベーターガール」シリーズもいいですね。