「日展」というのを初めて観に行きました。
古典的な絵画(日本画と西洋絵画)、彫刻、工芸品、書、といったものが題材のようでした。
いわゆる現代美術的なものは出展されていませんでしたが、工芸の部は抽象度が高いせいか、結構飛んだものが多かったように感じました。
また日本画も、その古典美をどう超越するかという問題意識が強いのか、デザイン性に富んだものが多かったように思いました。
偉そうに言ってますが、どの作品も素晴らしい視点、技巧、表現力のあるもので、すばらしいなと感心しました。
全部のエリアは回れませんでしたが、主だったところは行けたかな。
中には自然の状態を生かしたインスタレーションもあって、そこそこ楽しめました。
参加型のものや、電子的なものがあまりなく、少し物足りなさは感じました。
一番印象に残っているのは、六甲ミーツ・アートとは関係ない(とは言わないけど)、風の教会でした。
風の教会:https://www.kazenokyoukai.com
安藤忠雄設計の教会で、コンクリートの直方体と大きな開口部、スリットが特徴です。
なぜこんな辺鄙なところに教会を建てたのかと思いましたが、運営が六甲スカイヴィラなので、結婚式などに使っているんでしょうか。ただ、スカイヴィラは2022年で閉館しているので、今はホント、何の用があるんでしょうね。
ちなみに、風の教会は安藤忠雄氏の初期の設計で、教会三部作の最初に建てられたものだそうです。残りは大阪の光の教会、北海道の水の教会だそうです。
光の教会:https://ibaraki-kasugaoka-church.jp/j-top.html
水の教会:https://tomamu-wedding.com/waterchapel/
スカイヴィラは会場にもなっていますので中に入りましたが、こじんまりしていますが、素晴らしい眺めで、もったいないですね。住みたいくらいです。
絵師としては、風景画を得意としますが、それは武者絵や美人画、花鳥図などが得意な先輩がいたから。
得意分野で生きていく、というのはいつの時代も必要とされますよね。
広重の少し前の時代に、北斎が風景画でヒットを飛ばしてますので、当然一番意識したでしょう。
青(ベロ)を多用しているところ、独特の赤との対比も影響を感じます。
時には北斎のような大胆な構図にトライしますが、やはり広重は安定構図だと思います。
今回の展覧会は、広重の初期から晩期まで広く扱っていますが、驚くのはその種類の多さ、数です。注文があれば断ることなく全て受け、器用に表現しているのは素晴らしいなと思います。
北斎もそうですが、アートのマスタリーは質より量ですね。
https://www.aham.jp/exhibition/future/hiroshige/
そして、当展覧会の文明を作っていく訳ですが、ここでは主に3つの文明を紹介しています。
古い順で、紀元前1500年のオルメカ文明、紀元前1200年〜16世紀のマヤ、14世紀〜16世紀のアステカ。その後はスペインに征服されてしまいました。
文字を持たなかったので歴史を残さなかったのかな、と勘違いしていましたが、立派に文字があり、石に刻まれています。
王政があり、ピラミッドを作り、天文に長けていたようです。
驚いたのは、古代から生贄の習慣があったことです。生贄が宗教の中心にあり、連綿と続いてきたようです。
インディジョーンズに出てきたような、心臓を抉るようなことも行われていたようで、今の感覚からすると信じられませんが、生と死は境目が曖昧で、集団と個人の境目も曖昧だったんでしょう。
日本はそんな習慣が根付いてなくてよかったなと思います。
どうやって王朝ができていったのかは明らかにされていませんが、呪術、宗教的な要素が大きいような印象を受けました。
マヤは農業に向いた土地ではなかったようです。
石板には戦士も描かれているので、もちろん武力抗争はあったんでしょうが、各文明の都市を見ると、宗教による畏怖が権力の根本のように感じられました。
空想の神の世界、生贄、天文の知識....これらが人をまとめていたんでしょう。
スペインのコルテス率いる小部隊がアステカを制圧できたのも、武力がそれほど重視されていなかったからかもしれません。もちろん部族対立をコルテスが巧みに利用したことも大きいですが。
ちなみに「Aztec Camera」って、「アステカのカメラ」という意味だったんですね。知りませんでした。もちろんアステカにカメラはありません。
https://mexico2023.exhibit.jp/
中期の作品は、それはまあ緻密に、正確に写し取っています。写真ではなく、目で見た通りを描き写しているのがすごいところです。
普通の造形では飽き足らなくなったのか、水面、雲、雪、といった、ほとんど抑揚のない、というか形のないものを絵にすることに挑戦しているところが、病的と言っていいでしょう。
極限までデザイン化して、ミニマリズムの一歩手前まで行って、でも単純化を超えて微妙な揺らぎがある。
ホント、感心します。
順番としては「細密から入って、崩していく」ことらしいです。逆はできない、と。
僕なんかはどうしても根気が続かない。
好きだから続く、これは才能なんでしょうね。
相国寺は足利義満が創建した臨済宗の寺だそうで、金閣寺、銀閣寺は相国寺の塔頭寺院の1つだそうです。創建当時は壮大な敷地を有していたようです。
今回の展覧会では、その動植綵絵のコロタイプ複製30幅、釈迦三尊像、金閣寺の障壁画の一部(書院の再現含み=常設)らが若冲ものとして展示されています。
複製とはいえ、動植綵絵の細密さ、写実性、構図は見事なもので、よくもまあこれだけの絵を描けたものだと感心します。このうちの1つでも描けたら僕は人生成し遂げたと思うでしょう。
花、鳥、魚....鶏に至っては、何羽も庭で放し飼いにし、ひたすら観察していたそうです。写真のない時代に絵に再現するというのは余程の観察眼だと思います。
鹿苑寺金閣の大書院旧障壁画「月夜芭蕉図」は初めて見ましたが、素晴らしい筆致と構図でした。
また、同じ書院の「葡萄小禽図」は部屋の上から葡萄が垂れてきているような、奇抜なアイデアの構図で、来訪者は驚くでしょうね。
感心したのはほとんど常設展示だったのはちょっと残念ですが、いずれにして若冲の画技に直接触れられて感激しました。
もう1年になるのかぁ。中之島美術館は開館以来いい企画を連発してくれてます。
今回は、明治から昭和に至る近代大阪の日本画に焦点を当てたわけですが、「大阪の」というのは大阪で作られた、といった意味が強いでしょうか。
正直あまりなじみのない作家さんが多いのですが、すばらしい作品が多くありました。
伝統を忠実に受け継ごうというモーメントと、伝統からはみ出して新しいものを生み出そうというモーメントの両方が感じられました。
特に後者は、明治以降の油絵の輸入による表現技術や構図の多様化からの影響が強く感じられます。
「大阪」という地域特性を他と比べる知識がないのですが、船場派というのが一番大阪らしいのでしょうか。商人が発注してお題に基づき作品を作る、というプロセスから、大阪人のセンスが感じられ、装飾性の高さが伺えます。
https://nakka-art.jp/exhibition-post/osaka-nihonga-2022/